恋におちた <短編集>
「いつかこの子も琉太の生徒にさせたいな……。」
そう心の底から思った。
「………まま?」
琉菜が不思議そうにあたしを見つめる。
あたしは未だに琉太のほうに背を向けたまま。
琉太の顔見たら、きっとこれから先1人でいることができなくなる………
ふわ……っ
「…………愛。」
急に後ろから温もりを感じ、気が付いたら琉太に抱き締められていた。
「子供のこと、本当は最初から知ってた……。」
………………え?
知ってたって………
「愛のお父さんに挨拶しに行ったりした。
でも経済力のない学生の俺じゃ駄目だって言われて………。
………でも今の俺なら、お前らを守れる。」
「守るって……」
「ずっと愛のために教師になって、お前らを守るために大人になったんだよ………。
だから、俺にそろそろ守らせてよ。」
そんなことを平然と言っちゃう琉太に、あたしはただ涙を流すしかなかった。
ずっと探してた。
こんなにも想ってくれる人。
あたしがこんなに想ってる人。
いくら離れてようが、変わらない"好き"
あたしはその時、初めて琉太のほうを向いた。
久しぶりに見る琉太の顔……
なにも変わらない笑顔は、あたしの心の中を安心させた。
「もう、離れたくない…っ。」
そう言うあたしに、琉太は
「離さねーよ。」
なんて笑ながら言う。
琉太は知らないでしょ。
あたしと琉菜が住む家には、あたしと貴方が笑顔で写る写真が飾ってあるの………
琉菜は写真の貴方をいつも"パパ"って呼んでるのよ。
でもそれは、当分秘密………
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