きっとそれを      平凡と呼ぶのだろう
平凡という個性

 平凡。

 それはそれで一つの個性。
 そう言う人もいるがだろう。
 しかし、平凡は平凡以外の何者でもない。

 本人にはそうとしか思えない。

 飛び抜けた特技があるわけでもない。
 ハマっている趣味があるわけでもない。
 珍しい仕事をしているわけもなく、服装のセンスだって無い。
 そんな人間が平凡を抜け出せるわけもなく。

 これが自分の個性だと胸を張れるわけもないのだ。



 学生の頃は少しは非凡だったかもしれない。

 脳天気で、いじめを受けていたことにも気付いていなかった。
 というより、中学の頃に相当ないじめを受けていたから、麻痺していたのかもしれない。

 恋もそれなりにした。
 先輩に夢中になった。
 隣のクラスの異性に恋い焦がれた。
 別の学校の生徒と意味心な仲になったこともある。

 が、そんなことも過去の話。

 回想してみても、平凡だったことには変わりないことが再確認できただけ。
 昔から一人で居ることが出来なかったのも変わっていない。
 そんな自分に嫌気が刺してきたのはいつ頃だっただろうか…。
< 1 / 28 >

この作品をシェア

pagetop