きっとそれを      平凡と呼ぶのだろう

 それぞれ担当が決まっていた。
 担当以外のことでも知識は必要だ。
 どこに何が置いてあるのかを覚えるのは、大前提。

 聴いたことの無いようなCDも大量に売れた。
 意外と大工道具が重宝されている。
 百円ショップで一万円近い買い物をする人が居ることに驚いた。
 生活必需品が揃っているため、新生活を始める人にとっては打ってつけのお店なのだ。

 スタッフルームでの会話も楽しく、年の近い人も多かったため、打ち解けるのも早かった。
 ここでも楽しく仕事が出来そうだと思っていたが、暗雲はもう既に立ちこめていた。
 ここにもお局様は居た。

 この店のが開店当時から働いているため、知識も豊富だった。
 しかし、不満も人一倍多かった。
 スタッフルームと言えども、くつろげる場所は限られている。
 その殆どを在庫が占拠している。

 店長は居ない。
 代わりにリーダーが存在したが、しょせんはアルバイト店員。
 好き放題だった。

 店長はエリアごとに一人。
 常に一つの店に居ることはまず無い。
 たまに抜き打ちで訪れることはあったが、年に数回程度。
 居ないに等しい。

 スタッフルームでは、タバコを吸う人も居た。
 タバコを吸わない人間にとっては迷惑以外の何物でもない。
 しかし、言ったところで何も変わらない。

 商品にタバコの臭いが付くから、店内は完全禁煙。
 スタッフルームも例外ではないはずが、好き放題吸っていた。
 時には商品の段ボールを椅子にして吸う人も。
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