きっとそれを 平凡と呼ぶのだろう
最初は、みんな真面目でいい職場だと思っていた。
慣れていくうちに様々な部分が見えてくるのはどの職場でも同じだろう。
良い悪いは別として。
悪い面が見えた部分は数え切れない。
仕入れた商品を陳列した後は、減った商品の補充。
棚の清掃など仕事は山ほどあるはずだ。
しかし、お局様はスタッフルームに居ることの方が多かった。
事ある毎にタバコを吸いに行き、だらだらとくつろいだ。
大量注文の客が来ると面倒くさがり、文句を言った。
そして、彼女の目にかかった人は、次々と辞めていった。
18歳で入ってきた女の子は、口調が生意気だと文句を言われ、苛められたと言い残して辞めた。
二十中過ぎの女性は、ミスを繰り返し、一緒に休憩を取ることも嫌がられ、逃げるように辞めていった。
店の中でのイジメは確実にあった。
辞めていった後も、スタッフルームでは辞めた人たちの話題が尽きなかった。
お局様を否定すると、今度は自分がターゲットにされてしまう。
誰もの頭に登ったフレーズだと思う。
そして、奏の番も巡ってきた。
偶然だったのか、必然だったのかは定かではないが、確実にターゲットにされていた。
休憩中、近くに誰も来なくなった。
必ず二人でする作業は、常に同じ人が付くようになった。
その人も彼女が辞めた後ターゲットにされたらしい。