きっとそれを      平凡と呼ぶのだろう

 恥ずかしい思いをしながら親に相談した。
 『精神科に通いたい』
 と。

 意味が分からないという顔をされた気がする。
 母自身も、娘がそんなことを言うとは思っても居なかったのだろう。
 診断されたのは、軽鬱病、パニック症候群。

 大量に薬を貰った。
 大きな病院だったため、待ち時間も長く、ろくにカウンセリングもせずに、薬を貰う。
 治る気がしなかった。

 リストカットを覚えた。
 覚えたと言っても、手首を切る勇気はなく、手のひらを軽く傷つけた。
 包帯を巻いて出歩き、誰かに心配して貰いたかった。

 しかし、100円ショップで働いていた時のお局様は、
『あたしのせいで、そんな風になったって言いたいのかい』
 と、余計に職場での居場所を悪化させた。

 そんな中、一人の男性と出会い、結婚することになった。
 しかし、鬱病を悪化させるだけだった。

 両親がとある居酒屋に個室を用意したから、結婚前に挨拶をしようと提案してきた。
 仕事から帰ってきた彼に伝えると、猛反発された。
 反発する意味が分からなかった。

 親から掛かってきた電話を奪われ、
「こっちは仕事が終わって疲れて帰って来てんだよ!
 それなのに勝手に用意して、勝手に呼びつけて、何様だこの野郎!」

 有り得ない台詞だが、実際に聞いてしまった。
 そう。
 彼は気性が荒く、暴力を振るう男だったのだ。
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