この街と死んだ
ゆなと店に戻ると部屋の前にクロが居る。
「昼飯の時間だよ。茉莉、頼むからあんまり部屋からでないでくれないかな」
クロがコンビニ袋から弁当を差し出しながら顔をしかめている。
「ありがとん」弁当を受けとりクロの言葉を無視して部屋に入ろうとすると「いつ社長がくるか解らないんだからさ」少し怖い声でクロが睨む。
「…はいはい。わかったよ。」
「てかまた唐揚げ弁当かよ」
ゆなが顔を膨らませている。
私達が呼んでいる「クロ」という男はこの店のボーイで本名は慎太郎という。受付カウンターにいたり女の子の世話をしたりしている。他にもボーイはいるけど皆指定の白のスーツを着ているのに慎太郎だけいつも真っ黒なスーツを着ている。だからクロ。
ボーイの中では一番偉く、ポポロン村の社長のパートナー的存在らしい。