この街と死んだ
癖毛な黒髪、長身、低い声
31歳だけあって大人の色気が漂っている。

チロはなかなかお風呂場から出てこない。どうせ奥さんに電話でもしてるんだろう。

置いてあったガウンを羽織りベッドの横のまどを開ける。
「さむ…」
ここは市内にあるラブホテル。
8階からの景色はとっても綺麗。
メンソールの煙草に火をつける。
「ふぅー…」

チロと出会って2ヶ月前がたつんだ。

なんとも言えない感情が
身体の中から沸き立つ。

急に背中にぬくもりを感じた。

「寒いでしょ?風邪引くよ」

「うん…景色きれいだなぁって思ってみてたの。」

背中から抱きしめられると
なんとも言えない感情は
すぐに冷めていく。

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