カテキョのコンちゃん!
何やらドアの向こうで、ママと勉強マシーンが話している。
あーあ、憂鬱だなあ……。
ガチャリとドアが開いた。
疎ましそうにあたしはそっちを見た。
「風子、先生がお見えになったわよ!挨拶して!」
ママはニコニコ。
その理由がすぐに分かった。
勉強マシーンが…
キラキラしていたからだ。
「はじめまして。君がふうちゃん!よろしく、俺コンちゃん。」
明るい柔らかそうな茶色の髪に、
大きな二重の瞳は優しく弧を描いて、
テレビで見る芸能人なんかよりずっとかっこいい。
ぼけーっと見とれてしまった。
「こら、風子!マヌケな顔しないの。」
と、ママに叱られる。
「あ、町田風子です。」
ありきたりな自己紹介をしてぺこりと頭を下げた。
「ふうちゃん、そんな固くなんないで?俺ね、日比谷紺!だから、コンちゃん。」
コン?
変な名前だなあ……。
「コン先生、バカな娘ですがどうぞよろしくお願い致します。」
ママは頭を下げて、あたしに「逃げたら承知しないわよ。」と言葉を残して出て行ってしまった。