Present For You
「どうして来たの?」

「そろそろ退屈してんじゃないかと思ってさ」


それはもう。退屈だったよ。


「まだ1月3日でしょ? お正月はいつも家族と過ごすんじゃなかったっけ?」

「それはいいんだ、絵梨の方が大変そうだから。──なあ、何か欲しいものとかある?」


去年は年明けにメールもろくに返してくれなかったくせに、私がケガしてたら会いに来たりするわけ?


「ないよ」


分かっていた。

俊介の優しさは、すごく身に染みる。


それなのに、どうしてこんなに辛く当たってしまうのか分からない。


「うそ!! フツー何かあるだろ!?」

「ないって」

「何でも言えよ、聞きたい曲とか、読みたい本とか」


そんな風に楽しく話をしようとしてくれる俊介。

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