ハナ*キス
春歌はニッコリ笑って言った。


「分からん! 分からんし聞こえんかった! も一回ちゃんと言って?」

「なっ、なんでやねん!」


今度は宏人が顔を真っ赤にする番。

目をまん丸に見開いて、噴火の勢いで大きくわめくので、春歌にケラケラ笑われた。


「やだあ、冗談やて! ……ちゃんと分かった。めっちゃ嬉しい!」

「冗談キツイて、あほ」


二人はしばらく見つめ合うと、耐えかねたように噴き出して大笑いした。




春風をはらんだ桜の花が、二人の姿を温かく見守っていた。






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