お子ちゃま☆彼氏
定時に仕事を切り上げた私は、ダッシュでアパートまで戻って来た。
目の前の階段を駆け上がろうとする私に、どこからか声が掛かる。
この声は大家さんだ。
「大家さん、ただいま!」
大家さんはかわいいおばあちゃんだ。
「あ、あの…、大家さん。私のお隣の人って…」
聞いちゃっていいのかな?と思いつつ、私は大家さんに聞いてみた。
「あら。もう会った? 彼は私の女学校時代のお友達のお孫さんなの。香西さん、お隣だからこれからもよろしく頼むわね」
大家さんのお友達の孫なんだ。そうなんだ。何か少しだけ正体が分かってちょっとホッとした。
あ!そうだ。海里!!
急にまた海里が心配になった私は。
「あ!私急ぎますので、これで失礼します」
私は大家さんに断ると、2人の部屋へと続く階段を駆けあがったんだ。
そんな私を大家さんは優しく見つめていたなんて、その時は全然知らなかったんだけどね。