お子ちゃま☆彼氏
未だに行き先不明だが、駅に着くと、海里がキョロキョロしてる。
「どうしたの?」
まさか…、と思いつつ訪ねてみると、
「切符の買い方が分からない」
ははは。やっぱり。もう、お約束だね。
「そんな事だと思ったよ」
「ごめん」
「ほら、そんな事ぐらいでシュンとしないの。行き先知らないと買えないから、降りる駅名を教えて」
本当は最後まで内緒にしておきたかったんだろう。シュンとした海里が小さな声で呟いた。
「○○駅…」
え? 意外と近くって言うか、かなり近くだ。私の通勤経路にある駅だし。
「○○駅でいいのね?」
うん。と気まずそうに頷く海里をかわいいと思いながら、私は説明を始めた。