お子ちゃま☆彼氏
"プ、プー!"
今時のミニバンから、軽めのホーンの音が聞こえて来た。
「あ!兄さん!!」
私は兄の顔を見るなり、すごくほっとした、安心した気持ちになり自然と笑顔になれた。車に近付く足取りは自分でも軽いと思う。
「夢、お帰り」
車に乗り込んだ私に、いつもの落ち着いた声で囁きながら頭を撫でてくれる。
とっても安心する。
5つ年が離れた兄は、小さい頃から誰よりも私の味方でいてくれた。
今は結婚してかわいい奥さんと一人息子がいても、それは変わらない。
兄さんだけは私の味方。イヤな事があったばかりの私の胸は少しだけ軽くなっていった。
「今日はお前の好きな"手巻き寿司"だって母さんが張り切ってたぞ。みんな待ってる。早く帰ろうな」
「うん!!」
私は傷付いた心を癒やすように、久し振りの家族の温もりを求めた。