お子ちゃま☆彼氏
雨上がり
未だ、ほとんど意味の分かってない私は、最後の兄さんの笑みが、何故か?この状況で私に安心をもたらしていて、余計に頭が混乱してた。
「夢ちゃん…」
額が地面につく程の土下座をしたまま、静かに私たち兄妹のやり取りを聞いていた海里の顔が体が、初めて私の方を向いた。
その顔は涙目だった。
「海里…」
海里は座ったまま私をギュッと抱きしめて…
「ごめんな」
私はこれが海里の気持ちなんだ、別れの言葉なんだって思ったら、ものすごく悲しくなって、声をあげて泣きたくなったけど、唇を噛んでぐっと我慢する。
目の前には私の状況を見て困惑してる海里。
ねぇ。海里。最後の言葉は私に言わせてね。
でも、顔を見てたらきっと言えない。私は大好きな海里の胸に顔をうずめた。
「海里。今までありがとう。幸せになってね」
私の精一杯の強がり。
私を抱く海里の腕に力が入ったのが分かった。
ポタ、ポタ、ポタ…
え?
私は驚いて海里の腕の中で顔を上げて海里を見上げた。
「イヤだよ。イヤ。オレは別れないよ。夢ちゃんとじゃなきゃ幸せになれない」
海里は泣いていた。