お子ちゃま☆彼氏
「夢ちゃんが会社に用事で来たのも、オレが美波(ミナミ)と一緒に親父に呼び出されたのも、その姿を目撃させたのも、オレに婚約者がいると思わせたのも、この休暇も。みんな親父の企みだったんだ」
「え?」
私は頭で理解出来なかった。仕組まれた事なの?
「夢ちゃん、混乱してるでしょう?」
目の前の海里は優しく笑っている。穏やかな優しい笑顔だ。
「バカな親父だよな。夢ちゃんと別れさせれば、オレが以前のように言う事を聞くって思ったらしい」
「婚約者じゃないの? 結婚するんしゃないの?」
「親父が言ったのか?」
私は静かに頷いた。
「イヤな思いさせて本当にごめん。オレには婚約者はいないよ。美波はいとこなんだ」
「いとこ?」
「そう。いとこ。それも既婚者。親父もバカな事考えるよな」
そう言うと海里は私の髪にキスをした。