お子ちゃま☆彼氏
帰宅
「やっぱり、ここが一番落ち着くね」
「そ~だね」
あれから、私は兄さんを始め家族に、彼は私を両親に紹介し、お互いの家族公認の正式なお付き合いが始まった。
だからって今までと日常は何も全く変わらないけどね。
既にこの住み慣れたオンボロアパートに帰って来たし、今は私の部屋で2人でまったりとゴロゴロしている。
「ねぇ、海里。それにしてもよくあそこまで私を迎えに来れたね?」
「夢ちゃんのイジワル。でも、本当はめちゃくちゃ大変だったんだよ。オレにとっては大冒険で、命が半分くらい縮んだ気がしたよ」
海里の眉間にシワが寄った。よっぽど大変だったんだろう。
「だよね。1人で電車に乗った事ないんでしょ? よく来れたよね?」
自慢じゃないけど、私の実家はヘンピな所にある。
新幹線を降りた後も、在来線を3つ乗り継ぎ、さらに最寄り駅からはバスで30分掛かる。
普通の人でも大変だろうから、海里にしたら確かに大冒険だったろう。
そんな思いまでして私を迎えに来てくれたんだ。私は海里がより愛しく感じた。
「海里。迎えに来てくれてありがとう。本当にありがとう。私とずっと一緒にいてね」
私は目の前に横たわる大きな背中にくっ付いた。