最後の約束。

ケンカ

＊　＊　＊

「なんでそうなるの？！」
「なんでって仕方ないじゃない。お父さんだって忙しいのよ。いい加減わかりなさい！」
「もう、いいっ！」

・・・なんか最近、母親とはずっとこんなやりとり・・

少しくらいわかってくれてもいいのに。

お父さんだって１回ぐらいご飯の約束守ってくれてもいいのに。


　翌日・・・

「ケチなんだよ！」「あの父親は自分のことしか考えてないの」

そうやっていつも私は、親友である佐藤　真奈美に愚痴を聞いてもらっていた。

「もう、由ったら、そこまで言ったらお父さんがかわいそうだよ？」
「そんなことない！あの人が悪いんだから！」
「ねぇ、そんなコト言ってたらバチあたるよ？！」
「そんなわけないし～」
「はいはい・・」

でも実は真奈美の言葉で気がついた。

お父さんが約束を破っても破っても｛今度こそ｝って言ってくれるのは、
ホントに行きたいからではないかと・・・。

やっとこのとき、気がついたんだっ。

帰宅したら、めずらしく父親がいた。

さっきまで怒ってたはずなのに、今は無性に嬉しかった。

今日はご飯を一緒に食べれると・・・

・・・けど、やはりそれはできなかった。

わずかにリビングから聞こえてきた声は、お母さんの声だった。

「あなたは、もう何もわかってない！あなたはいつも残業とやらで遅いじゃない。
そのせいで私と由はあなたの帰りをいつも待ってるの！なのにあなたは・・・」
「ごめん、それはごめん。でも仕事なんだから仕方ないだろ！
お前のケンカの理由を俺に押しつけるな！」
「あぁ、そうですか。なら、私はあなたとやっていく自信がありません。
私の方に由を連れていきます。これにサインしてください。私たちは出ていきますから」
「あぁ、わかった。」

・・・これって？？

もしかして離婚届？　まさか・・

それって私のせい？・・・

私がお母さんとケンカするから？

ねぇ、そうなの？　お母さん。

答えてよ。お母さん・・・