約束
「奈々は・・知ってんのかよ。」
「あぁ・・今日は荷物を取ったりするために来たんだ。明日からは病院。」
何を言っていいのかわからなかった。
親友だからこそ。
当り障りのない友なら「大丈夫」と言えるのに。
親友にはいえなかった。
そんな確証のない言葉なんて掛けられなかった。
冷や汗が止まらない。
「それでな。」
優は思いつめたような顔をする。
「それでな。約束して欲しいんだ。」
「約束?」
「あぁ。約束。」
「俺はきっと死ぬ。それは近いうちかもしれない。」
「そんなこと言うなよ・・・。」
「俺は奈々が心配なんだ。きっとアイツは俺を追うかもしれない。」
優は俯いて首に掛けたペンダントを見る。
それは奈々とお揃いの物だった。
「お前が止めて欲しいんだ。」
「俺が?」
「お前にしか頼めない。引っ叩いたっていい。アイツの目を覚まさせてやってくれ。」
「目を覚まさせる・・か。」
「俺はそんなこと望んじゃいないって。」
「アイツには俺が生きられない分、ちゃんと生きて欲しいんだ。」