約束
「わかった。そのときは絶対に止めてやる。」
「すまないな。」
「けどな。」
俺は優の肩をこつんと叩く。
「生きることを諦めんなよ。何があっても生きろよ。」
「わかってるさ・・。」
「お前が生きることが奈々にとっての最大の幸せなんだ。」
「それがさ・・。」
優は俺を見て切なそうに話す。
「俺はきっとこれから奈々に迷惑をかけると思う。」
「・・・そうかもな。」
「それでも奈々は幸せなんだろうか?」
「さぁな。幸せかどうかは奈々が決めるんだろ。」
優は口元を少し緩める。
「幸せだったらお前のところから離れない。きっと奈々はお前から離れないだろうよ。」
「俺は、今まで奈々を幸せにしてこれたのかな?」
「今の奈々の顔を見ろよ。きっとわかる。」
「俺が死んでからは奈々は幸せに生きられるのかな?」
「奈々はそんなに弱くないさ。」
優は少し戸惑ったような顔をして諦めるように笑う。
「お前には敵わないよ、健介。」
「生きろよ、優。精一杯生きることが奈々にとって一番の幸せだ。」
「わかってるさ。俺だって一日も長く奈々といたいんだ。」
優は決心したように前を見る。
「頼むよ、健介。」
「あぁ。」
優は「ありがとう」と笑った。
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