約束
「しかし時には周りのその安心が辛くなるときがあるんだよ。」
先生はアタシの左手をゆっくりと下ろして心配そうにアタシを見る。
「けどね、先生。周りの優しさが余計に辛くなるときもあるんですよ?」
「あぁ・・確かに、なるほど。」
「けれど、それでも優しくして貰いたいと人は思うんです。」
先生は何も言わずアタシの目を見る。
「けど、今は優しさをくれる人がいないんです。優がいなかったらアタシは・・・。」
「いるじゃないか。」
先生はアタシの左手をもう一度取る。
「君の両親、友達、僕だってそうさ。君を心配しているんだ。優しさをくれないだなんて大間違いだ。」
「優しさをくれないとは言ってません・・・。」
「ただ、優の優しさがあまりにも大きくて、暖かくて。誰もそれを越えられない。」
「優しさを感じる度、優を思い出すんです。そして余計に辛くなる。」