約束
「うぅ・・・。」
鼻に感じる潮風はいつの間にか涙の匂いだった。
「ひっく・・・うぅ・・。」
静かだった。
誰も慰めることもなく、アタシ1人。
「ぅぇぇ・・・・。」
どれだけ涙を流しても誰も拭いてくれない。
「おじょーさん!!」
後ろから声が聞こえた。
「あれ?聞こえなかったのかな・・・おじょーさん!!」
こんな顔じゃ振り向けない。
「げ!!もしかして死んでる!?やっべ!!」
声の持ち主が近づいてくる音が聞こえる。
「ちょっ!お嬢さん!しっかりしなよ!ねぇ!!」
その人はアタシを抱きかかえた。
仰向けに起こされ抱きかかえられたアタシ。
声の持ち主の顔が見えた。
「おわっ!?お嬢さん泣いてるの!?」
アタシはグッとそっぽを向いて俯く。
「どうしたの?お嬢さん。」
彼はアタシの涙を人差し指で拭った。