約束
「優だ・・。」
きっと健介に写して貰ったのだろう。
「こんなに幸せそうに笑って・・・。」
アタシは写真の中の優をそっと撫でる。
なんとなく写真の裏を見たアタシ。
「・・・え?」
やわらかい丸文字。
それは優の字だった。
『奈々。ここに写っているのはみんな幸せそうな顔してるだろ?』
『俺もその1人だよ。俺は奈々に逢えて幸せだった。』
「幸せ」。
その字がとても優しくて暖かかった。
また止まり掛けた涙がポロポロと落ちる。
「アタシもね・・・アタシもねぇ・・・。」
その先が言葉にならない。
「アタシもね、幸せだったよ。」
やっと言葉に出来たときにはアタシの顔は涙でくしゃくしゃだった。