約束
「ふぅ・・・。」
堤防はあの日と変わらない天気。
澄み切った空はアタシを見つめる。
「優、来たよー。」
なんて写真を取り出して隣に置いた。
「気持ちいいね。」
返事はない。
「思い出すね。」
アタシはごろんと横になって空を見上げる。
「優・・寂しいよ。やっぱりここに来たら苦しくなるね。」
目が熱くなる。
「覚悟はしてたんだけどなぁ・・。」
徐々に涙声になるのがわかる。
泣き始めのあの喉の奥が詰まる感じ。
「やっぱり、苦しいや。」
頬を伝う涙は誰も拭ってくれない。
流しっぱなしの涙は海よりもしょっぱい。
「強くなろうって思ったのになぁ・・・。」
「優。逢いたいよ。帰ってきて。」
無茶なお願いだと思っていたけれど呟かずにはいられなかった。
「優。もう一度名前を呼んでよ。」
『奈々』
どこかから名前を呼ばれた気がした。