約束
「優・・?」
その声は優に似ていた。
バッと振り向いたけれどそこには誰もない。
空耳だった。
聞こえなかったほうがよかった。
胸が痛い。
「優・・馬鹿。」
零れる涙はとどまることを知らない。
時間と涙だけが流れていく。
『奈々』
聞こえた。
ゆっくりと振り向いても誰もいない。
「馬鹿だよ。からかわないで。」
なんて言ったって誰も答えてくれない。
「馬鹿ー!誰よ!誰がアタシをからかうの!?もうやめて!!」
アタシはとうとううつ伏せになって泣き出した。
『おじょーさん!!』
遠くから声が聞こえた。