約束
「やめて!もうやめてよ!」
耳をふさいで喚くアタシ。
『あれ?聞こえなかったのかな・・。おじょーさん!!』
その声はまだ聞こえる。
「嫌!誰!もうやめて!」
ポン・・・
アタシの頭に何かが触れた。
「お嬢さん?」
その声ははっきりと聞こえる。
「嫌、嘘。」
声だけでわかる。
ずっとずっと聞きたかった声。
「奈々」
その声はアタシをはっきりと呼んだ。
「ゆ・・・・ぅ。」
ゆっくりと振り向けばそこには
いないはずの優がいた。
逢いたくて逢いたくて仕方がなかった彼がいた。
愛していた人がいた。
いつもの変わらない笑顔の優がいた。