約束
「奈々。」
その声ははっきりと聞こえる。
その手ははっきりと頭を撫でる。
優しい笑顔がアタシを見つめる。
「優・・・?」
「何泣いてんの?」
優はその長く綺麗な指でアタシの涙をすくう。
「夢だ!絶対そうだ!ありえない!だって!!」
アタシはバッと起き上がって頭を抱える。
「夢?なにそれ?」
優はアタシの頬をつねる。
「い、いひゃいいひゃい!!」
「これでも夢だって?」
優はアタシの頬を離すと優しく撫でる。
「いや、だって!優は・・優は。」
「死んだよ。」
優は寂しそうな笑顔を見せる。
「俺は確かに死んだよ。」
「じゃぁ・・なんで?」
「死んだけど、帰って来たんだ。奈々に逢いたくて。」
優は笑っていた。