約束
「優・・ずっと一緒にいられるんだね・・・。」
抱きしめていた手が緩まった。
驚いて顔を上げると切なそうな顔の優がいた。
「なんでそんな顔をするの?」
「奈々。俺はずっとここにいられるわけじゃないんだ。」
「・・・ぇ?どういうこ、と?」
優は笑った。
「俺、一ヶ月だけなんだ。」
「ぇ?」
「タイムリミットは一ヶ月。」
一ヶ月。
それは遠くて近いもの。
アタシは泣くことも笑うこともできなかった。
「そ、うなんだ。」
ただ、優を困らせたくなくて無理に笑顔を作った。
「奈々。逢いたかった。」
もう一度優はアタシを抱きしめる。
こんなにも優は温かいのに。
こんなにも存在を感じられるのに。
あと一ヶ月で消え去ってしまう。
この腕が、胸が、匂いが。
この笑顔も消えてしまう。
この温かさも。
静かに泣いた。
それは再会の嬉しさなのか、それとも告げられた別れを悲しんでなのか。
ただ、優の胸を濡らしていくのが自分の涙だということしかわからなかった。