約束
「さぁ、奈々。」
優はそう言って立ち上がった。
「どこに行こうか。」
「どこにって・・?」
「遊びに行こう。思い出を作ろうよ。」
「大学は休んだんでしょ?」
「なん、で?」
「俺、ずっと奈々の側にいたんだよ?」
「え?」
優は「やっぱりわかってなかった」と笑う。
「俺の話、聞きたい?」
「・・・聞きたいよ。」
「奈々の側にいたんだよ。」
「知らなかった。」
「辛かったよ、奈々が泣いていたとき。」
優は寂しげに笑う。
「俺、ずっと側にいたんだ――――」