約束



「優、愛してる。」


「俺も。」必ずそう言って抱きしめてくれる優。



抱きしめてくれることはないと分かっていても心のどこかが期待する。

優はまた起きてくる。

悪い冗談だ、って。


けど、もう二度と起きることのない優。

胸痛い。



少し高い鼻。

笑うと垂れ下がる目と口の横に出るシワ。

だけど、もうそこには健康的な顔はなかった。

病魔は優の眩しい笑顔を奪った。

日に日に痩せ衰えた優。

抗ガン剤の副作用で髪は抜け、嘔吐のくり返し。



辛かった。


優に楽になって欲しいと思っていた。

それがどんな形であっても。

優が苦しむ姿を見たくなかった。



だけど寂しいよ、優。

いつかこんな日が来ると想っていたけど。

寂しい、やっぱり寂しい。

もう一度名前を呼んで・・・?

囁いてよ「奈々」って・・・。




「優ぅ・・・・。」








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