約束
「優・・。」
ハッと気がつけば俺は家にいた。
むくりと起き上がれば写真に囲まれた奈々が寝ていた。
「ぁっ!奈々!!」
俺は急いで奈々に駆け寄った。
体を揺さぶろうと手を掛けると手は奈々をすり抜けた。
「ぇ?ちょっ!これどういうことだよ!」
俺は下界に来たんじゃないのか?
それなのに奈々に触れられない!!
『これ、実体化するには時間がかかるんだよ。』
頭の中に声が聞こえた。
「お前!どこにいるんだよ!!」
『神様に向かってどういう口利いてんだよ。地獄に落とすぞ。』
「何が神様だ!実体化もできないくせに!!」
『ばぁか。体と生命が結びつくまで時間がかかるんだよ。』
「あと、どれくらいだ?」
『うーん、お昼までには。』
すやすやと眠る奈々。
俺は触れたくて仕方ない。
「奈々・・。」
『まぁ、もうすぐだから。ストーカーのように付きまとってれば?』
そう言って声は消えた。