約束


少しは引き止めてくれないのかな。
先生といえども他の男の人と映画だよ?
軽くデートだよ?
少しはやきもちくらい焼いてくれたって・・。


「はぁ。」


ううん。
そんなこと言わないの。
優が帰ってきてくれたんだから。

確かに今ここで帰ってしまったら先生が不安になるかも。
まだアタシが立ち直ってないと心配してしまうかも。
それに「嫌かい?」と聞いた先生の目・・・なぜか少し切なかった。


「先生。」
「ん?もういいのかい?」
「はい。」
「で・・その・・。」


少し言いづらそうな先生。


「ご一緒させていただけませんか?」
「え?」
「映画一緒に見てもいいですか?」
「あぁ、もちろん。」


先生は嬉しそうにニッコリと笑った。


少し胸の奥が痛んだ。
優が行っていいと言ったけど・・・ホントに行っていいのかな。


心の奥に少し痛みを抱えながらアタシは先生に連れられて喫茶店を後にした。




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