約束


「・・・俺は本当は・・・。」


その先が言えなかった。
言葉に詰まった。
認めたくなかった。

「ははっ・・・」

俺はもうこの世の中に存在してはいけない存在だった。
このまま蘇らなければ、奈々は先生と一緒になったのに。
そうすれば、痛みを忘れ幸せになれたのに。

俺は蘇ってよかったのか。
俺はまた奈々を苦しませてしまうのか。
俺は間違った選択をしたのではないか。


どれだけ考えてもマイナスな考えしか浮かばない。
悲しくて、情けなくて、辛くて。
俺はどうして蘇りたいと願ったのだろう。
奈々を悲しませると、苦しませるとどうして考えなかったのだろう。
どうして俺はここまで身勝手なのだろうか。


“蘇ってはいけなかった”
その一言が胸を痛いくらいに締め付ける。


「奈々・・」

俺は辛くてしかたなくて、とうとう電話をとってしまった。
こんな時ですら奈々に支えてもらおうとすがる俺はどこまで身勝手なのか。
自虐をしながら、指はいつの間にか番号を押し、通話ボタンを押していた。



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