約束
「着いた。」
健介はそう言ってドアを開けて降りた。
アタシもドアを開け降りてみる。
「っ・・・。」
声が出なかった。
着いたのは波止場。
「なん、で・・・?」
「優と約束したんだよ。」
健介はそう言って歩き出す。
健介を追って歩きたいのに足がすくむ。
「あぁ・・・。」
そのはずだよ。
胸が締め付けられる。
苦しい、痛い。
優の笑顔ばかりが浮かぶ。
『おじょーさん!』
今にも彼の声がしそうになる。
振り向いたらあの眩しい笑顔がある気がする。
ここは大切な場所。
優とアタシの出会った場所。