約束


「健介・・どうして・・。」

「だから言ったろ。優と約束したんだって・・・。」


健介は防波堤に座って海を見る。


「約束したんだよ・・。」


その目は寂しそうに空と海の間を見ていた。




「約束って・・・。」

「お前は優と一緒で幸せだったか?」


唐突な健介の問いに思わずアタシは言葉に詰まる。


「・・う、ん。」

「心からそう思うか?」

「思うよ、思う。優がアタシに幸せをくれたんだもの。」

「これからも、優の思い出があっても幸せになれるか?」

「きっと・・・。」

「優を引きずって後悔したりしないか?」


健介は心配そうな瞳をアタシに向ける。


「大丈夫だよ。優はアタシの中の最高の・・人だから。」

「優は、それだけを心配してた。」


「優が?」



「奈々が幸せになれるかって。」



「俺が死んだ後、奈々は幸せになれるんだろうか。って。」







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