天使の足跡〜恋幟
料理は出来るわ、部屋はキレイになるわ、彼のお陰で僕の生活が支えられているのは間違いない。
「太田みたいな彼女欲しいわ……」
そこへ、皿を持った太田がやって来て、芝居じみた女子っぽい口調で応えた。
「“わたしなんかじゃ拓也くんと釣り合わないわ、ごめんなさい”」
これには吹き出して笑った。
裏声でわざとらしく話すあたりが、何だかコントでも見ているみたいで。
「悪ノリ上手くなった! しかもフラれた!」
「“これが精一杯なの”」
と続けながらテーブルにハンバーグを並べた。
既にサラダも置かれていて、久しぶりに健康的な食卓になったなと思う。
「“さあ、食べましょ!”」
「ぶははっ! だからそれやめろって面白いから!」
「だって拓也くんが変なこと言うからー! あはは!」
自分でふざけておきながら、太田も堪えきれずに笑っていた。
笑いが治まらないうちに僕らは座って手を合わせた。
「さ、食べよ! いただきまーす!」
こんな調子で、僕の日常がまた彩りを取り戻し始めた。
他校の学生同士で生活するのは通学に不便を感じたりするけれど(この場合は太田の方が)、その他は何の問題もなくやれていた。
前までは1つのベッドに眠るという条件のおかげで互いに蹴り合って寝ていたのに、今は寒さのお陰で乱闘を招く心配もない。
──いや、問題があるとすれば。
太田と腐れ縁の状態にある剣崎さんに、僕の部屋を教えてしまったことだろう。
土曜の朝11時、現在。
太田は大いに嘆く羽目になったのである。
「太田みたいな彼女欲しいわ……」
そこへ、皿を持った太田がやって来て、芝居じみた女子っぽい口調で応えた。
「“わたしなんかじゃ拓也くんと釣り合わないわ、ごめんなさい”」
これには吹き出して笑った。
裏声でわざとらしく話すあたりが、何だかコントでも見ているみたいで。
「悪ノリ上手くなった! しかもフラれた!」
「“これが精一杯なの”」
と続けながらテーブルにハンバーグを並べた。
既にサラダも置かれていて、久しぶりに健康的な食卓になったなと思う。
「“さあ、食べましょ!”」
「ぶははっ! だからそれやめろって面白いから!」
「だって拓也くんが変なこと言うからー! あはは!」
自分でふざけておきながら、太田も堪えきれずに笑っていた。
笑いが治まらないうちに僕らは座って手を合わせた。
「さ、食べよ! いただきまーす!」
こんな調子で、僕の日常がまた彩りを取り戻し始めた。
他校の学生同士で生活するのは通学に不便を感じたりするけれど(この場合は太田の方が)、その他は何の問題もなくやれていた。
前までは1つのベッドに眠るという条件のおかげで互いに蹴り合って寝ていたのに、今は寒さのお陰で乱闘を招く心配もない。
──いや、問題があるとすれば。
太田と腐れ縁の状態にある剣崎さんに、僕の部屋を教えてしまったことだろう。
土曜の朝11時、現在。
太田は大いに嘆く羽目になったのである。