天使の足跡〜恋幟
「あとで恋助と、ちゃんと向き合おうと思う。じゃ」
そう言い残して、道を歩き始める。
道中、順二とすれ違った恋助は後ろを気にしながら、斜面を下って織理江の傍にギターを下ろした。
「おそーい。今日はどうして遅くなったの?」
何か笑えることを言ってほしかったけれど。
「……何しに来てん、あいつ?」
順二に出会って余裕がなくなったのか、いつもの冗談は言ってもらえなかった。
「……話したかったみたいだったよ、恋助と」
恋助はまた、何か織理江に問い詰めたい気持ちを抑えてギターを出し、黙って弦を弾き始めた。
癒威と拓也は互いに顔を見合わせ、やはり何も言わずにひたすら黙り続けた。