天使の足跡〜恋幟
第5章:すれ違う気持ち
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次の日の朝。
玄関のドアが開く音で恋助は目覚めた。
あくびをしながら時計を見る。
9時20分。ずいぶん寝坊したものだ。
ベッドから降りて、テーブル上に散らばった酒の空き缶を片づけているところに、織理江が入ってきた。
手には、お茶やら食べ物やらの入った袋が下げられている。
「やっと起きたの? 飲み物なくなってたならそう言ってよね」
「おう」
確か昨日一緒に飲んで、余りに話が弾んだのですっかり遅くなってしまい、織理江は恋助の部屋で寝た。
他人が聞いたら、男女が同じ場所に寝るなんてドキッとするシチュエーションだが、二人にとってはいつものことだった。
「やっぱり、恋助の部屋にして正解だよね」
「何が?」
「拓也くんのパーティの話。広いし、物なくて貧寒だし、案外きれいにしてるし」
「貧寒は余計や! 無駄がないって言え!」
「違うでしょ、あたしが掃除してあげたんじゃない」
「あらまあ、よくご存知で」
恋助は苦笑いで、キッチン脇のごみ箱に缶を捨てた。
織理江はコンビニで買ってきたペットボトルや食べ物を、冷蔵庫にしまい込んでいる。
「太田くんな、夕方、そこのコンビニでバイトしてるんやで」
「へー、そうなんだあ、ちょっと見てみたいかも。可愛い笑顔で迎えてくれそう」
「まあ、笑えば可愛らしいからなー、女に見られるのも分かるわ」
「あーっ、またそういうこと言う! 決め付けちゃダメって言ってるでしょ!」
恋助は手を振って弁解する。
「ちゃうねん、順二が!」
「順二?」