天使の足跡〜恋幟
恋助は眉間にぐっと皺を寄せて溜め息をすると、再びデパート内を歩き回った。
服、化粧品、本、雑貨、CD……。
織理江が立ち寄りそうな場所は全て回ったが、見当たらない。
昼過ぎだから、おそらく食事でもしてるのではないだろうかと喫茶店を外から覗いてみても、そこにも織理江の姿はなかった。
これだけ探していないんだから、もう放っておこうかと思いかけた頃、織理江としていた約束のことを思い出す。
──楽器屋だ。
たぶん、そこにいるに違いない。賭けるような思いで店へと足を運んだ。
数々の楽器や楽譜が取り揃えられている。
少なからずいる客の中から、見覚えのある後ろ姿を見つけた。
楽譜のコーナーだった。
「織──」
声をかけようと一歩踏み出したが、すぐ踏みとどまる。
嬉しそうに笑う彼女の隣に、あの男の姿があったからだ。
(順二!? なんでお前が──)
「なあ、探してた楽譜って、これ?」
「そうそう! ありがとー!」
順二と織理江はぴたりと寄り添って、一緒に1つの楽譜を覗き込んでいた。
(なんでお前が一緒に……)
苦虫を噛み潰したような顔で、声に出さず呟いた。
服、化粧品、本、雑貨、CD……。
織理江が立ち寄りそうな場所は全て回ったが、見当たらない。
昼過ぎだから、おそらく食事でもしてるのではないだろうかと喫茶店を外から覗いてみても、そこにも織理江の姿はなかった。
これだけ探していないんだから、もう放っておこうかと思いかけた頃、織理江としていた約束のことを思い出す。
──楽器屋だ。
たぶん、そこにいるに違いない。賭けるような思いで店へと足を運んだ。
数々の楽器や楽譜が取り揃えられている。
少なからずいる客の中から、見覚えのある後ろ姿を見つけた。
楽譜のコーナーだった。
「織──」
声をかけようと一歩踏み出したが、すぐ踏みとどまる。
嬉しそうに笑う彼女の隣に、あの男の姿があったからだ。
(順二!? なんでお前が──)
「なあ、探してた楽譜って、これ?」
「そうそう! ありがとー!」
順二と織理江はぴたりと寄り添って、一緒に1つの楽譜を覗き込んでいた。
(なんでお前が一緒に……)
苦虫を噛み潰したような顔で、声に出さず呟いた。