天使の足跡〜恋幟
ギターケースを持った癒威に翼は言った。
「俺たち、3人で飯食いに行くところだったんだけど、癒威も一緒にどう?」
「え、でも……」
邪魔じゃないかなと思い、あとの2人に視線をやると、朋絋が大きく頷いた。
「癒威さんもおいでよ、その方が瑠夏も喜ぶし」
そう言われて断る理由もないし、4人で食事をしに行くことになった。
すでに瑠夏が予約を入れていたらしい飲食店に行った。
主に翼と朋絋が話をしていて、時々、お互いの兄を介して「癒威はわざわざ一人暮らしをしているんだ」とか、
「瑠夏は家の花屋で働いているんだ」とか。
そういう情報は掴んだけれど、癒威と瑠夏が言葉を交わした場面はほとんどなかった。
双方の兄がほろ酔い状態になって、癒威のことは翼が、瑠夏のことは朋絋が勝手に代わりに喋ってしまったせいでもあるのだが。
ともかく4人で楽しい時間を過ごせたことに変わりない。
それに、両親を除いて兄と食事をしたのは初めてだったし、今日出会ったばかりの人と食事をするのも、新鮮な気分だった。
「今日は楽しかったよ。翼、癒威くん、また今度な」
長く楽しい食事の終わり、店の外にでてそう言い合った。
ここで北岸兄弟とはお別れになる挨拶だ。
「またな、トモ。瑠夏さんも、次もぜひ一緒に食事でも」
『喜んで』
と、唇と手話を用いて返事をした。
「俺たち、3人で飯食いに行くところだったんだけど、癒威も一緒にどう?」
「え、でも……」
邪魔じゃないかなと思い、あとの2人に視線をやると、朋絋が大きく頷いた。
「癒威さんもおいでよ、その方が瑠夏も喜ぶし」
そう言われて断る理由もないし、4人で食事をしに行くことになった。
すでに瑠夏が予約を入れていたらしい飲食店に行った。
主に翼と朋絋が話をしていて、時々、お互いの兄を介して「癒威はわざわざ一人暮らしをしているんだ」とか、
「瑠夏は家の花屋で働いているんだ」とか。
そういう情報は掴んだけれど、癒威と瑠夏が言葉を交わした場面はほとんどなかった。
双方の兄がほろ酔い状態になって、癒威のことは翼が、瑠夏のことは朋絋が勝手に代わりに喋ってしまったせいでもあるのだが。
ともかく4人で楽しい時間を過ごせたことに変わりない。
それに、両親を除いて兄と食事をしたのは初めてだったし、今日出会ったばかりの人と食事をするのも、新鮮な気分だった。
「今日は楽しかったよ。翼、癒威くん、また今度な」
長く楽しい食事の終わり、店の外にでてそう言い合った。
ここで北岸兄弟とはお別れになる挨拶だ。
「またな、トモ。瑠夏さんも、次もぜひ一緒に食事でも」
『喜んで』
と、唇と手話を用いて返事をした。