夢デアエタラ
第8章 現夢(第六回目)
【現夢六回目ー1】


「……っと!


……ちょっと
聞いてるの?!」





暗闇から
突然声が聞こえた。





アスマが、
懸命に螢を呼びかけて
いたのだ。





あ……

ここはいつもの夢…




もう少しのとこで、
この状況に気付けた
とこだった。





「クソ!!

もう少しで夢だと
気付くとこまで
きたのに!!」





突然の螢の声に
アスマはビックリした。





「ちょ……!!

居るなら
ちゃんと返事
しなさいよ!

死んだかと
思ったじゃない!」





螢が起きてる間は、
夢の世界でも
少しは時間が
経ってしまうようである





「おお、悪い悪い…
そっか夢にも時間が…」





そう言いかけた瞬間。


ふと頭に
『夢の実』
と言う言葉が浮かんだ。





螢があの後食べた果実…

あれはまさか……





もう、
それしか考えられない。





あんのジジイ…





だいたいのいきさつを
掴んだ螢は
怒りの声を上げる。





当然だ。

こんな世界に
連れて来られたのだから





そんな怒りを
アスマは
全くチンプンカンプンで
聞いていた。





「黙ってたと思ったら、
今度は急に何を
怒ってるのよ!?」





そんな問いに
螢は一旦は気持ちを
落ち着かせた。





そうだ。

今怒っても
何もならない。





「わりいな…

とりあえず
ここを脱出しないとな」





「何言ってんの!!
こんな暗くちゃ無理よ!

せめて
明かりがなくちゃ…」





すると、
螢はハッとし
ゆっくりポケットに
手を突っ込んでみた。





手に振れたのは、
銀製の四角い形の物。





そう、
ジッポのライターであった
< 112 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop