夢デアエタラ
【現夢六回目ー9】



ダッと走り
麗花の名を呼び続ける
螢。







アスマは後ろの
サハラ一族を気にかけ
一緒に走った。







どうやら、
この大声にも気付かない
ようだ。







2人は
階段をのぼり、

次に1人づつくらいしか
通れないような
狭い木のトンネルを
くぐり
上へと目指す。







そうして、
その長いトンネルを
ようやく抜けると、

頂上が目の前に広がった







こんな高い山にも
関わらず

風は無風。







光だけが、
外の空気を
醸し出していた。







頂上は
全て岩の平地に
なっており、

小学校にあるような
グランドの広さくらいの
スペースがあった。






そして、
その縛られてる
女の子の後ろに
小さな祭壇を作り、

その中央で一匹の
サハラ一族が祈りを
捧げている。






そのサハラ一族は
他の奴等と違い
体中がボロボロ…

コケだらけだ。







どうやらコイツが一族の
長のようだ。







「あれが儀式ね……
きっと祈りを込めて
崖から落とすのが、
ヤツらの風習なんだわ…

さて、
どうやってあの子を
助ける?」







すると螢はゆらりとし、

スタスタと真っ直ぐ
祭壇へ歩いた







「祈りだ……?
儀式だ……?

そんなことに麗花を…?」







アスマが呆然と
見届ける中

螢はブツブツ呟き

祭壇に立った
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