夢デアエタラ
【螢ー18】


ある花屋の前…

そこに螢は
姿を現していた。







「いらっしゃいませ!」







元気な若い女の店員が、
明るい笑顔で
挨拶をしてきた。







そんな眩しい顔に、
螢はうつむき

ひたすら花を選んでいた







「プレゼントですか?」







店も狭いせいか、
妙に店員は
話しかけてきた。






こう早く聞かれては、
ゆっくり選びたい物も
選べない。







それでも、
一切嫌な顔一つせず
螢は顔を上げて答えた。







「…このスズラン。
ください」







すると元気な店員は
ニッコリと答えた。






「ハイ!
お包みしますか?」







「ああ、包んでくれ」







無駄な会話はせず
そのままお金だけ払い、

包装してる間に
店内をうろついてみた。







やっと
ゆっくり花を見れる
一時だ。







螢は意外に花が
好きであった。







なので、
この一人で見る
和やかな時間は、

いつも喧嘩をして
暴れている螢にとって、

安堵の一時でも
あったのだ。







「お待たせ
いたしました!」







キレイに包まれた
スズランが、
ちょこんと
袋から顔を出して

こちらを覗いていた。







そんな
可愛らしいスズランを
受け取ると、

螢は大事そうに抱えて
店を出たのだった

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