夢デアエタラ
【螢ー19】


花屋を出て、
そのまま人気のない
山道を
どんどんと登ってゆく。







…と言っても
本格的な登山道でなく、
すぐに小高い丘へと
風景は変わる。







ザザザ!!!







障害物がないせいか
風が
どこからか桜を乗せて
花束をなびかせた。







そこで螢は
眉を顰めながら
遠くに目をやった。







「待たせたな…」







そう言って立ったのは、
キレイな
長方形の形をした
石の前。







珍しくはない、

なにせ周りも同じような
石ばかりだからだ。






そう、
ここは街から少し外れた
眺めの良い墓場。







螢は自分の買ってきた
スズランを
その墓の前にソッと
供えた。







その墓には
「踝 麗花」

…と書かれていた

< 19 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop