夢デアエタラ
【夢の実ー8】


ついさっきまでの
ケンカも嘘のよう。




家で家族三人で
食事をしている螢の姿が
そこにあった。







「…今日も
行ってきたのか?」






父親がそう言うと、
螢は
味噌汁をすすりながら
答えた。







「何が?」







「何って墓参りだよ」






そう言う父親に対し
あたかも
当たり前のように
返事をした。







「墓参りなんて行って
ねーぞ。

俺は麗花に会いに
行っただけだ」







その会話を
母親は皿洗いをしながら
黙って聞いている。






「そうか」







父親はそう言うと、
自分の部屋に
行ってしまった。







螢も食事を終え、
そのまま無言で二階に
上がって行く。







そして、
部屋に入るなり
ベットに横たわり、
死んだように深い眠りに
入っていった…

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