夢デアエタラ
【夢の実ー18】


「ジジイ…
何がしてえんだ…
言えよ」







「ふぇ、ふぇ。

強いて言うなら
昨日の礼だ」







昨日の…?



ああ、不良から助けた事か。







あの時は、
老人を助けたワケではなく、

ただ気紛れで暴れたに
過ぎない。







そんな意識を
持っていたので、

助けたと言う感覚は
螢にはなかった。







だけど、
それの礼なら余計に
ウザい。







寧ろ
こんな事を言われるなら
助けなければ良かったと
思った。







「助けなければ
良かったと思うのは、
今だけ。

直に
妹に合わせてやろう。

さあ…
その実を食うがいい」







まだ言うか…



このジジイ……







こんなもんで
誰が死んだ人に会えるか







螢は怪しげな果実を
ジッと見つめていた。






「おい、いい加減に
しやがれ。

一体なん………

…あ?」







再び上を見上げたら、
すでに老人の姿は
そこになかった

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