夢デアエタラ

【現夢四回目ー２】


「すっご………」







それを横目で見ていた
アスマは

呆気に取られていた。







威力は拳の数倍。


しかも、
拳のように
痛めることがない。






「この蹴りなら、
文句はねーなサル女？」








一瞬ニヤリと笑い、
再びサハラ一族に対し
鬼気とした表情を見せる







「さあ来いよ……

ザリガニ野郎！！！！」






次々に飛びかかるも、
あっという間に
螢のかかと落としの前に
瞬殺されていく。






その見事な闘いぶりに、
アスマは息を飲んでいた






そうして、
気付いた頃には全ての
サハラ一族が、

螢の足元に転がっていた






その一瞬の出来事に
目を丸くしていた
アスマは、

歓喜の声をあげた。






「す、凄いよ！！！

みんな
やっつけちゃうなんて！」






喜んでいるアスマを
ゆっくりと見上げ、
螢はいきなり走り出した






「バカ！避けろ！！！」






「……え？」







ドン！！！







ワケも分からず、

アスマは走ってくる螢に
突き飛ばされた。







バキ！！






「グ……！」






アスマの真後ろから
腕を振り下ろした
サハラ一族の攻撃が、

かばった螢の頭に
直撃した。






「ああ！！！」






まだ
一匹残ってたと言うのと

螢の頭に直撃した両方の
意味を込め、
アスマは声をあげる。






「テンメ……！！」





それでも螢は怯まずに、

右手のストレートが
サハラ一族の頭を
ぶち破った。







………ドサ！！






最後の一匹が倒れ、
螢は頭を撫でながら
無言の一息をついた