レンズのスガオ


「数学、なんか最近おもしろいかも♪」

「へぇー、文系の詩唯にしては珍しい発言!!」

学校で、友達とお弁当を食べながらの一時。
この時、私は、苦手科目である数学の授業が楽しくなってきたと感じた。

「彼氏とのお勉強会の成果ですかなぁ?」

「もー、みぃ!!」

からかわないで、と笑うけど、案外それは当たっていたりする。



長いデートをした日から、私達の距離は、確実に縮んでいる気がする。
距離が縮んでいる、なんて言ったら、前なら絶対に照れてしまっていたし……。
前は、私はけんとの事が嫌いだった。
だけど、今は、全然そんなことはない。
恋人として、好きになれる相手なのだ、私にとってのけんとは。


当然、デートもよくするようになった。(デート、といっても最近はテストが近いので、勉強会がほとんどだけど。)


今まで、けんとを好きになれなかったのは、きっと私の中に『もしかしたら、私はれおに遊ばれているだけなのかも』という思いや、すみれが原因の罪悪感があったからなのかもしれない。
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