レンズのスガオ



手紙の内容は、お父さんが警察に捕まった、といった内容の報告だった。
過去の詐欺が原因らしい。


そんな…………。



恐らく、血がつながっていないであろう、私のお父さん。

こんな時にだけ、楽しかった、あの幼い時が脳内を駆け巡る。


『詩唯のこのパッチリ二重は、きっとお父さん似だからだねぇー!詩唯パッチリで良かったなぁ。』

『そうだね。』

うそ。お父さんは奥二重だった。





『遊園地、楽しかったね!!お父さんも、詩唯と一緒にゴーカート乗れば良かったのに!』

『お父さんは詩唯の楽しそうにしてるとこ見るので忙しかったからね』

『あはは、もー』

本当は、私1人でゴーカートに乗っている間、お父さんは、だれかに電話していた。
話し方や様子からして、きっと女の人なんだろうな、と今は思う。

だけど、当時の私は、たった1人の家族は、お父さんしか居なかった。



お父さんが大好きだったんだ。


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