レンズのスガオ
メガネのカレシ。
①
「え?ホント?!良かっったねぇ!!!!」
「ホント、まじおれも、最初は何かのミスだと思ったけど、名前はしっかり母さんなんだ!!!」
「え?じゃあ、一緒に暮らすの?!」
「いや、一緒に暮らしたりとかは、ない。てか、母さんそんなこと、きっとしないだろし、もし誘われても断るつもりでいる。」
「どうして?」
「……母さんは、今のおれを知らない。昼間は進学校に通う、メガネの優等生。夜は身体で働く男だし……。」
「え……。」
「母さんと一緒に暮らすなら、今の仕事を辞めざるをえない。でも、仕事を辞めたら、母さんが働いて稼いだ金で食ってくしかない。」
……。
けんとは、刑務所から出たばかりのお母さんと暮らす気はないらしい。
その理由は、きっと沢山あるはず。
その沢山の思いから、けんとが決めたなら、私が口出しする権利はナシ、か。