トーキョークラブ
「雨、すごいね」
梨絵はホットミルクを一口飲んで、窓を滝のように流れていく雨を見つめた。
彼女は相変わらず
花柄の洋服が好きなようだ。
「最近、どう?いい写真撮れてる?」
「…うん。そっちは?」
ハーブを入れた水を飲み
僕はコホン、と咳払いをした。
「順調に絵描きやってる。最近は油絵が好きでね、10月にはグループ展も決まってるの」
「へぇ…。頑張ってるんだね」
「まあね。樹は?毎日写真撮ってて、それを発表したりはしないの?」
梨絵はカバンの中を漁りながら、僕にそう尋ねるが、あまり興味はなさそうだ。
「機会があればね」
僕は窓の外を見つめて
素っ気なく梨絵に返した。